遍路に行って来た

今治市の56番泰山寺から64番前神寺まで。 今回は道に迷いまくって大幅に時間をロスした(40分位?)。それもあって、予定では65番三角寺(愛媛県最後の札所)までつぶすつもりだったが、断念。高速でショートカットすればおそらく行けただろうが、別にそんな…

イスラームの深奥――Frithjof Schuon"Understanding Islam"★★★★★

タイトルから「入門書」的なものを想像するひともいるだろうが、実際には非常に難解な書だと思う。イスラームについてある程度知っていて、なおかつフリッチョフ・シュオンの諸著作に親しんだことがなければ、読み通すのはつらいだろう。 Harry Oldmeadowが…

日陰の花のような、しかし心のこもった佳作――『魔法遣いに大切なこと』★★★★

昨今のアニメを基準にすると、アニメらしくないアニメかも知れない。 魔法士の試験通過を目指し「遠野」から上京した少女の成長物語(ビルドゥングス・ロマン)が中心。設定の「魔法」は日常生活に溶け込んでおり、派手な展開はまったくない。主人公たちの悩…

誕生日

世を捨てるまで繰り返し散る桜 一輝 半分世を捨てていても、時は流れる。

フリッチョフ・シュオン動画

「Logic and Metaphysics」更新。 http://schuon.at.webry.info/201004/article_2.html まだ研究途上だが、フリッチョフ・シュオンの文章を紹介しはじめることにした。随時短めの論文を翻訳していく予定。 以前紹介した動画がYouTubeにアップされていたので…

行きたい時が遍路時

44番45番がICから遠いのが気になっていたので、本日4月18日、日帰り遍路を決行。松山市街がややこしくて、何度も道に迷って時間をロスしてしまったが、今治市の55番南光坊まで達した。車遍路用ガイドブックだと2日分なのだが、机上の計算でここまでは行…

1泊2日で遍路に行ってきた

すでに2009年12月13日に第3回を敢行し、18〜27番まで打ち終え、今回2010年4月10日11日と、2日かけて28〜43番まで。これでほぼ半分廻ったことになる。 高知はさすが広く、走行距離が長い。1日目、足摺岬の38番金剛福寺には到達できなかった。しかし、足摺…

『岩波キリスト教辞典』はやはり使えない

以前、当ブログ記事でも取り上げたが、『岩波キリスト教辞典』は使えないというレビューをアマゾンにも書いていた。 http://d.hatena.ne.jp/kanedaitsuki/20100228 しかしながら、たてつづけに「参考にならない」票を3ついただき、小心者の私は「なんか間違…

神は妄想ではない――Thomas Crean"God is No Delusion: A Refutation of Richard Dawkins"

ドミニコ会士による、リチャード・ドーキンス『神は妄想である』への応答。 目次を並べると、内容は大体想像できよう。 序 1.ドーキンス教授の主張 2.ドーキンス教授と聖トマス・アクィナス 3.ドーキンス教授と奇跡 4.ドーキンス教授と福音 5.ドーキン…

新世代の声優歌姫誕生、かな?――戸松遥『Rainbow Road(初回生産限定盤)(DVD付)』★★★★★

よい。気持ち的には★6つ。久々に本当に「名盤」と呼べるアルバム。 一昔前風の安定感のあるメロディと歌詞、決してしょぼくはない適度なチープ感のあるサウンド、安心して聴ける。楽曲もバラエティに富み、曲によって声質や歌い方も変えており、飽きさせな…

日本語で読める最良のエゾテリスム入門書――リュック・ブノワ『秘儀伝授―エゾテリスムの世界』★★★★

純粋形而上学としてのエゾテリスムについて、ルネ・ゲノンの用語系にたよりつつ簡素かつ適切にまとめた、良質の入門書。この本に通底する諸宗教に共通する聖なる原理という考えは、まさにゲノンにはじまる永遠学派の思想であり、彼らの著作を読む際の前提と…

現代無神論3人衆への反論――Ian S. Markham"Against Atheism: Why Dawkins, Hitchens, and Harris Are Fundamentally Wrong"★★★

著者は監督派に属する。 無神論者たちは宗教感覚、宗教言語を学ぶべき、宗教をもっと知るべきだ、というのが本の骨子だが、反論そのものとしては切れ味がないと思う。現代物理学は神仮説の方にフレンドリーだ、というのも、信仰を前提にした立論だろう。 面…

無神論原理主義批判に向けて

落合仁司数理神学研究と平行しながら、リチャード・ドーキンス流無神論原理主義批判のため、資料集めを開始した。 スティーヴン・ジェイ・グールド『神と科学は共存できるか?』解説によると、9・11以降、ドーキンスはそれまでの不可知論的態度(神が存在す…

ドーキンスは妄想である――Alister E. McGrath&Joanna Collicutt Mcgrath"The Dawkins Delusion?: Atheist Fundamentalism and the Denial of the Divine"★★★★★

リチャード・ドーキンス『神は妄想である』をもじって、ヴェーダの定式を「世界は妄想である」とした事があるが、まさか同様の切り口でアリスター・E・マクグラスがこんな本を書いていたとは。 読むとすぐ分かるが、マクグラスは、『神は妄想である』におけ…

父からか、父と子からか、それが問題だ――Joseph P. Farrell trans."The Mystagogy of the Holy Spirit"★★★★★

フィリオクエ論争において、東方教会側の立場を代表する聖フォティオスの論文の翻訳。 ファレルの解説が素晴らしい。西方教会(ラテン教会)への、アウグスティヌスを介したギリシャ的思考(ネオ・プラトニズム)の抜きがたい影響が、フィリオクエ付加に至る…

『岩波 キリスト教辞典』は使えないというお話

落合仁司ってネストリオス異端じゃね?って言ったので、ネストリオスについて書こうかと『岩波 キリスト教辞典』を紐解いてみて、ちと疑問がわいた。まずその記事を見てみよう。 聖母マリアの呼称を、キリストの神性を強調するアポリナリオス主義を助長する…

ボーン・グノーシスト(生粋の真智者)フリッチョフ・シュオンの傑作――Frithjof Schuon"Spiritual Perspectives and Human Facts: A New Translation with Selected Letters"★★★★★

純粋形而上学は難解である。万人向けではないからだ。しかし、分かる人には即座に分かる。たとえば、「世界は幻想、ブラフマンこそが現実。汝がそれなり」と聞いて、ぴんとくる人なら、この断片的・直観的に書かれた本書は、フリッチョフ・シュオン著作中、…

数理神学は形而上学的神学に勝利したか

落合仁司は『数理神学を学ぶ人のために』で数理神学と形而上学的神学を対比してこう言う。 形而上学的神学は神の愛を否定した。形而上学的神学を代表する一人であるカンタベリーのアンセルムスはこう言う。「苦難に対する共苦の感情にまったく動かされないと…

落合仁司の数理神学を使って奇妙な定理を証明してみる

落合仁司は言う。 数理神学の言語である数学言語は、近代自然神学すなわち近代自然科学の言語でもあるので、それに完敗した伝統的自然神学したがって伝統的組織神学の言語である哲学言語に比べ、遥かに広大な普遍性ときわめて強靭な反証可能性あるいは論証力…

落合仁司は「十字架の神学」をほんとうに理解しているのか

落合仁司は『数理神学を学ぶ人のために』で、これまで偏愛しつづけたパラミズムを捨てて「十字架の神学」を数理神学の看板に掲げたが、実際の所、彼は「十字架の神学」をどうとらえているのか。落合仁司自身の言葉を引こう。 神の受難、神の共苦、神の弱さの…

数理神学の正体

というわけで、『数理神学を学ぶ人のために』文献リストにたよって、ユルゲン・モルトマン『十字架につけられた神』を入手し、現在読書中。 ちょっと気になった箇所。 神の神性(Gottheit)は、十字架の逆説においてのみ露わになるのである。そのとき、イエ…

数理神学という知の欺瞞――落合仁司『数理神学を学ぶ人のために』★

ようやく再投稿できるようになったので、文章を改正してアップ成功。 無限集合論は神学に適用できるという発想の下、落合仁司は数々の同工異曲の本を上梓しているが、これはその最新版。 これまで落合仁司は、正教会神学やパラミズムを持ち上げていたが、こ…

落合仁司はなぜパラミズムを放棄したのか

数理神学最新版であり数理神学原論とも呼べる『数理神学を学ぶ人のために』を一読して少々不審に思ったことは、『地中海の無限者』以来、あれほど偏愛していたパラミズムがほとんど影を潜めていることだ。軽く触れてはいるが「パラミズムはキリスト教の教義…

数理神学という虚妄――落合仁司『数理神学を学ぶ人のために』★

無限集合論は神学に適用できるという発想の下、落合仁司は数々の同工異曲の本を上梓しているが、これはその最新版。 これまで正教会神学やパラミズムを持ち上げていた落合仁司だが、なぜかこの書では軽く触れるのみである(文献表には正教会神学者の本は一切…

落合仁司『ギリシャ正教 無限の神』つづき

落合仁司による無限集合論の「パラミズム」、すなわち神の本質と活動の差異への適用は、さらにめちゃくちゃだ。 「神の活動を無限集合とおいてみよう。(・・・) この神の自己の多様な部分、神の活動の多様な部分を、神の活動という無限集合の部分集合と考…

神学を学びたい人が絶対に読んではいけない本――落合仁司『ギリシャ正教 無限の神』★

三位一体(三一性)のような神学の命題は、無限集合論を使って表現できる。表現できるばかりでなく証明できる。こうしたアイデアから、落合仁司は「数理神学」の名の下、同工異曲の本を次々に出版した。これはその中の一冊。 一見、論理的、学術的に書かれて…

二十世紀黙示録――Rene Guenon"The Reign of Quantity & the Signs of the Times"★★★★★

処女作『ヒンドゥー教研究序説』以来、伝統原理から逸脱したものとして、西洋近代への批判をつづけてきたルネ・ゲノンだが、この著はそうした批判の集大成である。 『現代世界の危機』で提示された西洋社会の近代主義的諸潮流の諸分析をさらに深め、高度な形…

中沢新一によるイスラームへのラブ・レター――中沢新一『緑の資本論』★★★

学問的厳密さにおいて、いささか疑わしいところがあったとしても、新しい思考を触発し、読み物として面白い本を書く物書きもいるもので、中沢新一はその中の一人であろう。 最後に収録された論文をのぞいて、九・一一の直後にひらめいた直感(天啓)から書か…

ルネ・ゲノン伝記――Paul Chacornac"The Simple Life of Rene Guenon"★★★★★

「伝統研究」誌の発行人であり、長年ルネ・ゲノンと近しい関係にあった人物による、最も初期に出版されたゲノンの伝記であり、後の伝記の底本となっている。ゲノンファンにとって、なくてはならない一冊。 著者自身オカルト・シーンに詳しく、ゲノンとオカル…

ルネ・ゲノンと私

最近すっかりゲノ中となった私だが、かつては、名前だけは知っていたが著書を読んだことはなかった。むしろ避けていたと言ってもいい。やはり、「オカルト系」の人、と思っていたからだろう。 フリッチョフ・シュオンを読み始めてからも、シュオンの師がゲノ…