2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧
処女作『ヒンドゥー教研究序説』以来、伝統原理から逸脱したものとして、西洋近代への批判をつづけてきたルネ・ゲノンだが、この著はそうした批判の集大成である。 『現代世界の危機』で提示された西洋社会の近代主義的諸潮流の諸分析をさらに深め、高度な形…
学問的厳密さにおいて、いささか疑わしいところがあったとしても、新しい思考を触発し、読み物として面白い本を書く物書きもいるもので、中沢新一はその中の一人であろう。 最後に収録された論文をのぞいて、九・一一の直後にひらめいた直感(天啓)から書か…
「伝統研究」誌の発行人であり、長年ルネ・ゲノンと近しい関係にあった人物による、最も初期に出版されたゲノンの伝記であり、後の伝記の底本となっている。ゲノンファンにとって、なくてはならない一冊。 著者自身オカルト・シーンに詳しく、ゲノンとオカル…
最近すっかりゲノ中となった私だが、かつては、名前だけは知っていたが著書を読んだことはなかった。むしろ避けていたと言ってもいい。やはり、「オカルト系」の人、と思っていたからだろう。 フリッチョフ・シュオンを読み始めてからも、シュオンの師がゲノ…
Logic and Metaphysics新記事 http://schuon.at.webry.info/201001/article_2.html Wikiに純粋形而上学に関する著作のサマリーがあるので、それを紹介。
「アガルタ王国」というオカルト的題材によりながら、世界の伝統宗教が共有する「世界の王」という象徴を深く読み解いたルネ・ゲノンの著作の邦訳。 この著のきっかけになった、オッセンドフスキー『獣、人間、神々』というアジア旅行記のさらに元ネタである…
形而上学的・精神的領域に関わる教権と形而下的・物質的領域に関わる世俗権は、原初においては一つであったが、歴史が進むとともに分化していった。しかし、分化したとは言え、両者は一体であり、また、前者が後者に優越するというヒエラルキーがはっきりし…
John Herlihy ed."The Essential Rene Guenon: Metaphysics, Tradition, and the Crisis of Modernity"からもエリアーデのゲノン評(『神智学協会:ある擬似宗教の歴史』『心霊主義の誤り』に対する)を。 いわゆるオカルト・グループすべてへの、最も詳細で…
前半1部がゲノンの生涯、後半2部がゲノンの思想と、構成自体はスタンダードなもの。1部の生涯については問題ないと思うが、2部の思想の紹介はどうだろう。ゲノンの著作からより、トラディショナリスト・スクールとは無関係な他の著作家たちからの引用・…
「Logic and Metaphysics」新記事 http://schuon.at.webry.info/201001/article_1.html 久々に更新してみた。
訳者田中義広が「解説」で述べている通り、ゲノンの思想の基本的骨格はこの本にほぼ言いつくされている。また、非常に読みやすく訳されており、ゲノンを読む際に障碍になりうる基本用語も丁寧に解説している。それゆえ、最初に読むに最も適当な本であると言…
1月12日記事『世界の王』レビューで、ゲノンはハードSFとしても読める、と書いた。 http://d.hatena.ne.jp/kanedaitsuki/20100112 たまたまRobin Waterfield"RENE GUENON and the Future of the West"を読んでいたら、エリアーデの次のような発言に出会っ…
「アガルタ王国」というオカルト的題材によりながら、いつものゲノン節で、世界の伝統宗教に共通して見られる「世界の王」という象徴の深い意義を探求している。まさにオカルトに精通した象徴学者ルネ・ゲノンの真骨頂と言ったところであろうか。 内容が内容…
改めて見てみたが、展開が急だ。第二話とか最終話のノリで、ED後に話が続く。 猫耳ばかりが目立つが、極端なデフォルメを廃し、演出は、全体にシリアスな雰囲気を壊していない。「人間が描けている」ファンタジーアニメとでも言おうか。 ↓OPは各話ごとに…
第一次世界大戦の終了直後、「世界の終わり」を感じさせざるをない時代状況の中上梓された本書は、「個人主義」「進歩主義」「物質主義」など、様々な意匠で現れている近代=西洋文明思想を、この世界を超えた原理の否定として性格づけ、多角的な批判的検討…
引きこもりの妹とシスコンの兄、という設定自体はありがちだが、それにきちんと理由づけをしているのが面白い。非現実的で荒唐無稽なストーリーも言葉の勢いでぐいぐい押していく。章分けした文章の分量も適度で、作者本人が言う通り、4コマ漫画のようにさ…
ご多分にもれず、ハルヒ以来のスニーカー文庫大賞受賞ということで購読。 たしかに文章表現力はあり、言葉をよく選んで書いていることも分かる。話もそれなりに面白く、ダーク・ファンタジーファンなら満足できる出来だろう。 しかし、舞台がほぼ共同墓地に…
というわけで、2009年12月30日より広島に滞在、本日帰ってきたところ。 正月は原点に帰って(?)Frithjof Schuon"The Transfiguration of Man"を完読。 人間は神と動物の間で宙吊りになっている、つまり、上昇する力と下降する力、両者から引っ張られている…