宗教

フリッチョフ・シュオン動画2

ネイティヴ・アメリカンについてのインタビューもアップされていたので、紹介。

イスラームの深奥――Frithjof Schuon"Understanding Islam"★★★★★

タイトルから「入門書」的なものを想像するひともいるだろうが、実際には非常に難解な書だと思う。イスラームについてある程度知っていて、なおかつフリッチョフ・シュオンの諸著作に親しんだことがなければ、読み通すのはつらいだろう。 Harry Oldmeadowが…

フリッチョフ・シュオン動画

「Logic and Metaphysics」更新。 http://schuon.at.webry.info/201004/article_2.html まだ研究途上だが、フリッチョフ・シュオンの文章を紹介しはじめることにした。随時短めの論文を翻訳していく予定。 以前紹介した動画がYouTubeにアップされていたので…

神は妄想ではない――Thomas Crean"God is No Delusion: A Refutation of Richard Dawkins"

ドミニコ会士による、リチャード・ドーキンス『神は妄想である』への応答。 目次を並べると、内容は大体想像できよう。 序 1.ドーキンス教授の主張 2.ドーキンス教授と聖トマス・アクィナス 3.ドーキンス教授と奇跡 4.ドーキンス教授と福音 5.ドーキン…

日本語で読める最良のエゾテリスム入門書――リュック・ブノワ『秘儀伝授―エゾテリスムの世界』★★★★

純粋形而上学としてのエゾテリスムについて、ルネ・ゲノンの用語系にたよりつつ簡素かつ適切にまとめた、良質の入門書。この本に通底する諸宗教に共通する聖なる原理という考えは、まさにゲノンにはじまる永遠学派の思想であり、彼らの著作を読む際の前提と…

現代無神論3人衆への反論――Ian S. Markham"Against Atheism: Why Dawkins, Hitchens, and Harris Are Fundamentally Wrong"★★★

著者は監督派に属する。 無神論者たちは宗教感覚、宗教言語を学ぶべき、宗教をもっと知るべきだ、というのが本の骨子だが、反論そのものとしては切れ味がないと思う。現代物理学は神仮説の方にフレンドリーだ、というのも、信仰を前提にした立論だろう。 面…

無神論原理主義批判に向けて

落合仁司数理神学研究と平行しながら、リチャード・ドーキンス流無神論原理主義批判のため、資料集めを開始した。 スティーヴン・ジェイ・グールド『神と科学は共存できるか?』解説によると、9・11以降、ドーキンスはそれまでの不可知論的態度(神が存在す…

ボーン・グノーシスト(生粋の真智者)フリッチョフ・シュオンの傑作――Frithjof Schuon"Spiritual Perspectives and Human Facts: A New Translation with Selected Letters"★★★★★

純粋形而上学は難解である。万人向けではないからだ。しかし、分かる人には即座に分かる。たとえば、「世界は幻想、ブラフマンこそが現実。汝がそれなり」と聞いて、ぴんとくる人なら、この断片的・直観的に書かれた本書は、フリッチョフ・シュオン著作中、…

二十世紀黙示録――Rene Guenon"The Reign of Quantity & the Signs of the Times"★★★★★

処女作『ヒンドゥー教研究序説』以来、伝統原理から逸脱したものとして、西洋近代への批判をつづけてきたルネ・ゲノンだが、この著はそうした批判の集大成である。 『現代世界の危機』で提示された西洋社会の近代主義的諸潮流の諸分析をさらに深め、高度な形…

中沢新一によるイスラームへのラブ・レター――中沢新一『緑の資本論』★★★

学問的厳密さにおいて、いささか疑わしいところがあったとしても、新しい思考を触発し、読み物として面白い本を書く物書きもいるもので、中沢新一はその中の一人であろう。 最後に収録された論文をのぞいて、九・一一の直後にひらめいた直感(天啓)から書か…

ルネ・ゲノン伝記――Paul Chacornac"The Simple Life of Rene Guenon"★★★★★

「伝統研究」誌の発行人であり、長年ルネ・ゲノンと近しい関係にあった人物による、最も初期に出版されたゲノンの伝記であり、後の伝記の底本となっている。ゲノンファンにとって、なくてはならない一冊。 著者自身オカルト・シーンに詳しく、ゲノンとオカル…

ルネ・ゲノンと私

最近すっかりゲノ中となった私だが、かつては、名前だけは知っていたが著書を読んだことはなかった。むしろ避けていたと言ってもいい。やはり、「オカルト系」の人、と思っていたからだろう。 フリッチョフ・シュオンを読み始めてからも、シュオンの師がゲノ…

ルネ・ゲノン『ヒンドゥー教研究序説』(要約;Wikipediaより)

Logic and Metaphysics新記事 http://schuon.at.webry.info/201001/article_2.html Wikiに純粋形而上学に関する著作のサマリーがあるので、それを紹介。

スピリチュアル・ブームを内側から破壊する爆弾ルネ・ゲノン――ルネ・ゲノン『世界の王』★★★★

「アガルタ王国」というオカルト的題材によりながら、世界の伝統宗教が共有する「世界の王」という象徴を深く読み解いたルネ・ゲノンの著作の邦訳。 この著のきっかけになった、オッセンドフスキー『獣、人間、神々』というアジア旅行記のさらに元ネタである…

保守主義すら軽く乗り越える伝統主義者ルネ・ゲノン流階級闘争史観――Rene Guenon"Spiritual Authority and Temporal Power" ★★★★★

形而上学的・精神的領域に関わる教権と形而下的・物質的領域に関わる世俗権は、原初においては一つであったが、歴史が進むとともに分化していった。しかし、分化したとは言え、両者は一体であり、また、前者が後者に優越するというヒエラルキーがはっきりし…

エリアーデのゲノン評

John Herlihy ed."The Essential Rene Guenon: Metaphysics, Tradition, and the Crisis of Modernity"からもエリアーデのゲノン評(『神智学協会:ある擬似宗教の歴史』『心霊主義の誤り』に対する)を。 いわゆるオカルト・グループすべてへの、最も詳細で…

ゲノンの生涯と著作、ただし入門書としては使えない――Robin E. Waterfield"Rene Guenon and the Future of the West: The Life and Writings of a 20Th-Century Metaphysician"★★

前半1部がゲノンの生涯、後半2部がゲノンの思想と、構成自体はスタンダードなもの。1部の生涯については問題ないと思うが、2部の思想の紹介はどうだろう。ゲノンの著作からより、トラディショナリスト・スクールとは無関係な他の著作家たちからの引用・…

ルネ・ゲノンの生涯(Wikipediaより)

「Logic and Metaphysics」新記事 http://schuon.at.webry.info/201001/article_1.html 久々に更新してみた。

徹底的な反近代思想家ルネ・ゲノンの代表作――ルネ・ゲノン『世界の終末――現代世界の危機』★★★★

訳者田中義広が「解説」で述べている通り、ゲノンの思想の基本的骨格はこの本にほぼ言いつくされている。また、非常に読みやすく訳されており、ゲノンを読む際に障碍になりうる基本用語も丁寧に解説している。それゆえ、最初に読むに最も適当な本であると言…

『世界の王』レビューのつづき

1月12日記事『世界の王』レビューで、ゲノンはハードSFとしても読める、と書いた。 http://d.hatena.ne.jp/kanedaitsuki/20100112 たまたまRobin Waterfield"RENE GUENON and the Future of the West"を読んでいたら、エリアーデの次のような発言に出会っ…

「世界の王」という象徴をめぐって――Rene Guenon"The King of the World"★★★

「アガルタ王国」というオカルト的題材によりながら、いつものゲノン節で、世界の伝統宗教に共通して見られる「世界の王」という象徴の深い意義を探求している。まさにオカルトに精通した象徴学者ルネ・ゲノンの真骨頂と言ったところであろうか。 内容が内容…

20世紀の形而上学者による近代文明批判の古典――Rene Guenon"The Crisis of the Modern World"★★★★

第一次世界大戦の終了直後、「世界の終わり」を感じさせざるをない時代状況の中上梓された本書は、「個人主義」「進歩主義」「物質主義」など、様々な意匠で現れている近代=西洋文明思想を、この世界を超えた原理の否定として性格づけ、多角的な批判的検討…

新年

というわけで、2009年12月30日より広島に滞在、本日帰ってきたところ。 正月は原点に帰って(?)Frithjof Schuon"The Transfiguration of Man"を完読。 人間は神と動物の間で宙吊りになっている、つまり、上昇する力と下降する力、両者から引っ張られている…

エソテリックな般若心経

密教フォーラム21公式サイト「エンサイクロメディア空海」内の記事「般若心教は真言を説いたお経」は、世に蔓延る通俗解釈を破砕していて爽快であり、気になる人には是非一読を勧める。 http://www.mikkyo21f.gr.jp/academy/cat48/ この中で特にひっかかった…

宮坂宥勝監修『空海コレクション』1・2

「車でお遍路」計画の下準備として、理論武装のために(笑)購入。 実は、「密教」は今まで避けていた分野。しかし、フリッチョフ・シュオンのおかげで、再び仏教全般への目を開かされてしまった。「六塵(色・声・香・味・触・法)がことごとく文字であり、声…

フリッチョフ・シュオン『霊的観点と人間的事実』より

正統(orthodoxy)とは、ある観念、一般には形式を、啓示された特定の観点もしくは真理の特定の側面に適応したものである。 神は時折、正統とは独立に干渉することがあるが、正統は神の不在を埋め合わせることはできない。時々、真理は論理――もしくは、ある…

フリッチョフ・シュオンの思想(Wikipediaより)

「Logic and Metaphysics」新記事 http://schuon.at.webry.info/200909/article_4.html

フリッチョフ・シュオンの生涯

「Logic and Metaphysics」新記事 http://schuon.at.webry.info/200909/article_3.html 「諸宗教の超越的一致」を説いたフリッチョフ・シュオンが、原始シャーマニズム、とりわけアメリカ・インディアンの精神世界に深くコミットメントしたことは大変興味深…

フリッチョフ・シュオンとは?

「Logic and Metaphysics」新記事 http://schuon.at.webry.info/200909/article_2.html さしあたりWikipedia(English)の記事を訳すが、他に、James S.Custinger'The Virgin'を最初に紹介しようかと思っている。「シュオンのマリア論」と言う非常に興味深い主…

Logic and Metaphysics

というわけで、新ブログのスペースを確保した。 「Logic and Metaphysics」 http://schuon.at.webry.info 基本的には、フリッチョフ・シュオンならびにシュオン関連の論考の翻訳を載せるつもり。まとまったら、閲覧用として別のWebサイトにアップする予定。 …