2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

新世代の声優歌姫誕生、かな?――戸松遥『Rainbow Road(初回生産限定盤)(DVD付)』★★★★★

よい。気持ち的には★6つ。久々に本当に「名盤」と呼べるアルバム。 一昔前風の安定感のあるメロディと歌詞、決してしょぼくはない適度なチープ感のあるサウンド、安心して聴ける。楽曲もバラエティに富み、曲によって声質や歌い方も変えており、飽きさせな…

日本語で読める最良のエゾテリスム入門書――リュック・ブノワ『秘儀伝授―エゾテリスムの世界』★★★★

純粋形而上学としてのエゾテリスムについて、ルネ・ゲノンの用語系にたよりつつ簡素かつ適切にまとめた、良質の入門書。この本に通底する諸宗教に共通する聖なる原理という考えは、まさにゲノンにはじまる永遠学派の思想であり、彼らの著作を読む際の前提と…

現代無神論3人衆への反論――Ian S. Markham"Against Atheism: Why Dawkins, Hitchens, and Harris Are Fundamentally Wrong"★★★

著者は監督派に属する。 無神論者たちは宗教感覚、宗教言語を学ぶべき、宗教をもっと知るべきだ、というのが本の骨子だが、反論そのものとしては切れ味がないと思う。現代物理学は神仮説の方にフレンドリーだ、というのも、信仰を前提にした立論だろう。 面…

無神論原理主義批判に向けて

落合仁司数理神学研究と平行しながら、リチャード・ドーキンス流無神論原理主義批判のため、資料集めを開始した。 スティーヴン・ジェイ・グールド『神と科学は共存できるか?』解説によると、9・11以降、ドーキンスはそれまでの不可知論的態度(神が存在す…

ドーキンスは妄想である――Alister E. McGrath&Joanna Collicutt Mcgrath"The Dawkins Delusion?: Atheist Fundamentalism and the Denial of the Divine"★★★★★

リチャード・ドーキンス『神は妄想である』をもじって、ヴェーダの定式を「世界は妄想である」とした事があるが、まさか同様の切り口でアリスター・E・マクグラスがこんな本を書いていたとは。 読むとすぐ分かるが、マクグラスは、『神は妄想である』におけ…

父からか、父と子からか、それが問題だ――Joseph P. Farrell trans."The Mystagogy of the Holy Spirit"★★★★★

フィリオクエ論争において、東方教会側の立場を代表する聖フォティオスの論文の翻訳。 ファレルの解説が素晴らしい。西方教会(ラテン教会)への、アウグスティヌスを介したギリシャ的思考(ネオ・プラトニズム)の抜きがたい影響が、フィリオクエ付加に至る…