エリアーデのゲノン評

 John Herlihy ed."The Essential Rene Guenon: Metaphysics, Tradition, and the Crisis of Modernity"からもエリアーデのゲノン評(『神智学協会:ある擬似宗教の歴史』『心霊主義の誤り』に対する)を。

いわゆるオカルト・グループすべてへの、最も詳細で手厳しい批判が出現した。単なる外側にいて観察するだけの合理主義者によってではなく、そのサークルの中にいて、まさにいくつかの秘密結社に加入し、オカルティズムの教義によくなじんでいる著者によって。加えて言えば、その批判は、懐疑的ないし実証的見地からではなく、本人言うところの「伝統的エソテリスム」から行われている。この学識があり妥協しない批評家とは、ルネ・ゲノンである。


ibid.,p.279

 実際、オカルト系の主張に対して科学的批判がよくなされているが、一般の人をオカルトから防ぐには役に立つかも知れないが、オカルティズムの信奉者には、そんなに効果がない。「科学では解明できないことがある」と反論して終わりだからである(しかも、この主張そのものは正しい)。それゆえ、オカルティズムを内側から破壊するゲノンこそ、昨今のスピリチュアリズム・ブームに風穴を開けるにもってこいの爆弾なのではないか。