キリスト教

孤高の碩学――岩下壮一『カトリックの信仰』★★★★★

こういう思い入れのある本はむしろ言葉が出にくいのだが、アマゾン用にレビューを書いてみたので、ここにも採録しておく。 戦前の書ながら、日本語で書かれた教義解説書の中で、今に至るも最高峰に位置する。聖書学などで著者の見解には乗り越えられた部分も…

ラッチンガー最新作

K神父に薦められたので、ラッチンガー『ナザレのイエス:ヨルダン川での洗礼から変容まで』Ratzinger"Jesus of Nazareth: From the Baptism in the Jordan to the Transfiguration "(Doubleday)も即購入。未読。 これを執筆中に教皇に選出されたらしく、つ…

待ちに待ってた

マーケットプレイスで注文していたReginald Garrigou-Lagrange"The Three Ages of the Interior Life"(TAN)がやっと到着。注文から一ヶ月かかった。他の海外からの取り寄せは、だいたい二週間以内には着いていたのでやきもきした。遅れること自体は仕方がな…

模様がえ

サイドバーがどうしても思ったようにならないので、左空きのデザインに変えた。カトリックの擁護雰囲気的にまたお叱りを受けそうであるが・・。中身があまりに固いのでこれくらいは許して欲しいのことよ。

こちらでしか書けない

ふと思ったのだが、ミッション系百合ものはあまたあれど、神学生のBLものってあるのかねえ? 俺が知らないだけか。

アマゾンリスト

ためしに作ってみた。カトリックの独習それに合わせて、カトリック専用のブログも作成。水野優さんに習ってseesaaにしてみたが、ローテク人間なので使い方がいまだによくわからない。カトリックの擁護 Defence of Catholicismただし、本格的に始動するのはま…

聖人の教皇はいるが教皇=聖人というわけではない

「教皇不可謬」誤解の典型例なのでひろっておく。「日本キリスト教団 須賀川教会のホームページ」より。 http://www1.ocn.ne.jp/~sukagawa/sukagawa.files/sekkyou.files/2002/sek20609.htm カトリック教会とプロテスタント教会の解釈が別れる代表的な聖書箇…

James Likoudis, Kenneth D. Whitehead "The Pope, the Council, and the Mass: Answers to Questions the "Traditionalists" Have Asked"

帰宅したところ届いていたので未読だが、紹介だけ。この本はいずれ折を見て訳す予定。いわゆる「伝統主義者」による第二バチカン公会議後の改革に対する批判を、FAQ方式で25の設問に章分けして論じた書。以前紹介した"More Catholic than the Pope"に比べ…

まさに「鋼の錬金術師」――Jean Borella"The Secret of the Christian Way"★★★★★

真のリアリズムとしての神秘主義を地でいくフランスの現代神学者Borellaの論考を、聖ボナヴェントゥラの『魂の神への道程』の七階梯に従ってまとめた小著。まったく無名ながら、数々の卓見に満ち、中身が濃い。いわゆる「グノーシズム」は近代の「発明」であ…

Joseph Cardinal Ratzinger"The Spirit of the Liturgy"★★★

原文のせいか翻訳のせいか、非常に読みやすかった。逆に言えば、内容的には想定の範囲内であった。旧約・新約の連続性、創造と啓示の連続性、堕罪と贖罪の連続性など、キリスト論的総合の見地から、さまざまな角度で典礼を取り扱っているので、ちょっとした…

聖ピオ十世会関連

私の記事がこちらのサイトでリンク・紹介されている。http://jesuitjpjsinapis.seesaa.net/article/19469974.html#moreやはり日本では本格的な反・聖ピオ十世会(反・伝統原理主義)サイトがないようで、私のごときでもお役に立つこともあるのだろう。HNを…

Anti-SSPX(アンチ・聖ピオ十世会) サイトリスト

[聖ピオ十世会(SSPX)] Apologia pro Marcel Lefebvre(Michael Davies) Open Letter to Confused Catholics(Marcel Lefebvre) Library of Catholic Documents(SSPX Asia) SSPX FAQs(SSPX USA) [全般] SSPX Agenda THE ANTI-CATHOLIC NATURE OF THE SOCIETY O…

伝統原理主義(聖ピオ十世会)批判入門――Patrick Madrid and Pete Vere『More Catholic Than the Pope: An inside Look At Extreme Traditionalism』★★★★

『教皇よりもカトリック』とはいかにも皮肉の効いたタイトルである。アメリカで有名な護教家と元SSPXerの教会法学者の共著。三部と余録から成る。 第一部では聖ピオ十世会の歴史を一瞥している。これはVereによるオンライン上のテクストA CANONICAL HISTORY …

3月9日コメント欄

http://d.hatena.ne.jp/kanedaitsuki/20070309/p1#c madrigallさん以降のコメントがとんでしまっているようなので、もし投稿したい方がいらっしゃれば、こちらにどうぞ。

ルフェーブルの離教運動からの脱出記――すべての伝統はローマに通ず(6)

"My Journey out of the Lefebvre Schism All Tradition Leads to Rome"より。 ルフェーブル大司教は破門されたか? 聖ピオ十世会で私が一貫して出会ってきた最後の主張は、私の教会との和解の決定にはまったく影響のない、より技術的なものである。事実、私…

ルフェーブルの離教運動からの脱出記――すべての伝統はローマに通ず(5)

"My Journey out of the Lefebvre Schism All Tradition Leads to Rome"より。 伝統主義のローマ VS 近代主義のローマ ローマという問題が、ついには私の良心に重くなってきた。教会を去る人間にとってそうであるように。カトリックの伝統が一貫してローマへ…

ノヴス・オルドを不敬と言うひと

小野田神父の記事について疑問点等を呈示しておこう。 http://blog.goo.ne.jp/thomasonoda/e/333766059d5cebc2595ecec286b18dc6 ● Peter Vere は言う、「聖ピオ十世会によってなされる共通した立論は、パウロ6世によって改正された典礼は「本質的に悪である…

ルフェーブルの離教運動からの脱出記――すべての伝統はローマに通ず(4)

"My Journey out of the Lefebvre Schism All Tradition Leads to Rome"より。 教皇リベリウス おそらく私が聖ピオ十世会で出くわした最も共通の主張と言えば、教皇リベリウス(352-366在位)は異端的で、アーリア主義に共感し、誤って聖アタナシウスを破門…

「護教の盾」は離教に邁進する――思考なき信仰の末路

(「護教の盾」氏の発言は茶色、教会公文書は緑字で引用する)「護教の盾」(ヨゼフ・ジェンマ)氏はついに自ら思考することを放棄し、特定団体の宣伝を垂れ流すに至った。 「教皇”その人”(ペルソナ)と教皇の”役職”の違い http://www.aa.alpha-net.ne.jp/p…

「護教の盾」はカトリックを守るための盾ではない――平気で嘘をつくひと

(「護教の盾」(ヨゼフ・ジェンマ)氏の発言は茶色で引用する。また、「護教の盾」氏は自身の日記に手を加えて文章をまるまる削除するような改変をすることがあるので、ことわりのないかぎりは私の引用は現時点のものとお考えいただきたい。証拠隠滅される…

不肖金田 VS 小野田神父

(小野田神父の発言はオレンジ、私の発言は灰色で引用する)聖ピオ十世会の小野田神父から私の記事にコメントをいただいた。 http://blog.goo.ne.jp/thomasonoda/e/25d40393c90c3c2ad96912bcd9439c69 金田さんが「ローマ VS SSPX(聖ピオ十世会)」というお…

ローマ VS SSPX(聖ピオ十世会)

非常に抽象的な弁証になるが、以下してみる。 ある事柄についてローマとSSPXに見解の相違がある場合、両方とも正しいという単純なケースを除けば、 ①ローマが真、SSPXが偽 ②ローマが偽、SSPXが真 ③両方とも偽 の三パターンしかない。問題は②のケースがあると…

Anti-SSPX(アンチ・聖ピオ十世会) サイトリスト

[全般] Library of Catholic Documents(SSPX Asia) SSPX Agenda THE ANTI-CATHOLIC NATURE OF THE SOCIETY OF ST. PIUS THE TENTH (SSPX) ULTRA-TRADITIONALISTS A Prescription Against 'Traditionalism'(Shawn McElhinney) An Overview -- What is the Soc…

お役立ち記事リスト

[教会の外に救いなし] 教会なしに救いなし、「教会の外に救いなし」――杉本氏の誤謬をただす、「教会の外に救いなし」補足、ルフェーブル大司教による「教会の外に救いなし」、誰が救われるのか、「教会の外に救いなし」入門、「Extra Ecclesiam nulla salus …

ルフェーブルの離教運動からの脱出記――すべての伝統はローマに通ず(3)

"My Journey out of the Lefebvre Schism All Tradition Leads to Rome"より。 新ミサ:本質的に悪? 現在聖ピオ十世会によってなされる共通した立論は、パウロ6世によって改正された典礼は本質的に悪である、少なくともカトリック信仰への直近の危険である…

小野田神父様よりの反応

誰がタレこんだのかはわからないが、聖ピオ十世会の小野田神父がブログで私の記事を取り上げてくださっている。 http://blog.goo.ne.jp/thomasonoda/e/333766059d5cebc2595ecec286b18dc6 小野田神父にあって、なんら悪感情が感じられないこと、また論争にお…

文献主義?

「護教の盾」(3月3日付日記)さんは私をして「いわば「文献主義」」と言う。何のことやら分からないので文章を追っていくと次のような箇所に出会う。 いわゆる「客観」や、「言葉」や、「論理」や、「合理」や、「議論」や、「文献の精査」などを、ちょっ…

ルフェーブルの離教運動からの脱出記――すべての伝統はローマに通ず(2)

"My Journey out of the Lefebvre Schism All Tradition Leads to Rome"より。 聖ピオ5世と「クオ・プリムム・テムポーレ」 私が今までに出くわした聖ピオ十世会を擁護する者による第一の立論(まさに私をして彼らの離教運動へと導いた論)は、16世紀の聖ピ…

教皇権についての簡略な入門書――Stephen K.Ray、R.Dennis Walters"The Papacy Lerning Guide"★★★

Catholic Answersから出版されている教皇権についての標準的な教えの理解に役立つ本である。薄い(112P)が内容は凝縮している。安価なので手元にあって損はない一冊である。既に当ブログで「教皇の不可謬の教導権」について書かれたところを紹介したが、これ…

ルフェーブルの離教運動からの脱出記――すべての伝統はローマに通ず(1)

Peter Vereの自伝的エッセイ"My Journey out of the Lefebvre Schism --All Tradition Leads to Rome"を紹介する。Vereは一時期聖ピオ十世会のシンパであったがのちに離脱した。その経験と教会法の研究から、聖ピオ十世会の主要な主張を反駁している。当ブロ…