Joseph Cardinal Ratzinger"The Spirit of the Liturgy"★★★
原文のせいか翻訳のせいか、非常に読みやすかった。逆に言えば、内容的には想定の範囲内であった。旧約・新約の連続性、創造と啓示の連続性、堕罪と贖罪の連続性など、キリスト論的総合の見地から、さまざまな角度で典礼を取り扱っているので、ちょっとしたキリスト教神学入門にもなっている。典礼改革についても触れてはいるが、かなり端折っている。それゆえ、第二バチカン以降の問題について突っ込みを欠くが、本書の性格からすればこれが限界なのだろう。もう少し高度な事を知りたい向きは、James J. Meagher"How Christ Said the First Mass or the Lord's Last Supper"あたりを紐解いて次のステップを踏むよりない。