歴史

靖国問題に一石も投ぜず――上坂冬子『戦争を知らない人のための靖国問題』★

薄っぺらい本。特に前半に顕著だが、著者の主観が強すぎ、非常に情緒的に思えるところが少なくない。また、靖国神社の今後について、神道色を排して改組すべきという主張にもまったく頷けない。神道という枠組みを亡くせば靖国神社の歴史的連続性が断たれて…

読んだ本

兵頭二十八・別宮暖朗『大東亜戦争の謎を解く――第二次大戦の基礎知識・常識』、兵頭二十八・別宮暖朗『技術戦としての第二次大戦』、別宮暖朗『旅順攻防戦の真実――乃木司令部は無能ではなかった』、金完燮『親日派のための弁明』など。 最初の二冊はいろいろ…

サンフランシスコ講和条約にて大東亜戦争は終結した

愛・蔵太先生から愚生のエントリhttp://d.hatena.ne.jp/kanedaitsuki/20060817/p1がトラバを受けているのに気づいた。 http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20060825/rssbm2006082514#tb こういう取り上げ方はおそらく揶揄なのだろう。となると松平元宮司なら…

大東亜戦争開戦記念日

たしか佐藤卓巳が朝日新聞のインタビューで言っていたと記憶するが、終戦記念日についてはほとんどの日本人が知っているが、開戦記念日は2割くらいのひとしか答えられないらしい。いろんな意味で、開戦記念日こそ記憶しておくべきだと思うのだが。煮卵をす…

グースさんに聞いてみよう!:「大東亜戦争」という呼称

「大東亜戦争」という呼称について思い悩んでしまったので、私がかねてから尊敬し、影ならが応援してきた方、ネット上で広範な国際法的知識を駆使し、鋼鉄のごとき論理的文章によって「南京大虐殺」否定の論陣を張ってきたグースさんに質問をぶつけてみた。 …

皇紀2646年のマリリンマンソン

桶谷秀昭の名著『昭和精神史』に、皇紀についてこう書かれている。 皇紀二千六百年といふ考え方が、そもそも文明開化の産物だつたのである。明治五年十一月十五日の太政官布告で、「神武天皇御即位を以て紀元とす」と定められた。この紀元制定の生みの親が津…

西暦を使ったら即イエスが救世主であることを信じることになるとでも?

昨日見落としていたが、吉祥寺・杉本さんはこういうことを書いていた。 http://blog.livedoor.jp/mediaterrace/archives/50223741.html かつて、軍国主義が蔓延った「大東亜戦争」のまっただ中にも「皇紀2600年」の記念式典が賑々しく行われたことがある 吉…

大東亜戦争という呼称

コメント欄にて犬儒派さんが「大東亜戦争は1937年からはじまっている」とおっしゃっている。冷静なつっこみありがとうございます。ただ、私としてはさような使われ方をしたことをいままで見たことがないので、ソースを挙げていただいたら幸いです。 「大東亜…

「皇紀2665年」論

吉祥寺さんは、皇紀2665年を使う人間が正確に2665年前を紀元と考えていると決めつけ、「まともに考える頭を持ってい」ないのだと蔑視しておられる。 http://blog.livedoor.jp/mediaterrace/archives/50223741.html ところで、西暦とは言うまでもなくキリスト…

三土修平『靖国問題の原点』★★★★

賛成派を「謀略史観」反対派を「せっかく史観」とし、占領下における靖国神社改革の歴史を検証しながら、両者に批判の目を向けている(しかし、前者はともかく後者のネーミングセンスはいかがなものか)。 「謀略史観」は靖国神社の私法人化は占領軍による強…

伊藤正徳『帝国陸軍の最後』全5巻

全5巻のまだ半分ほどしか読んでないが。 将兵いかに戦いしか、という点にこだわり、臨場感あふれる筆致で描いている。個々の戦いについてもほどほどに詳しく、非常に読みやすい大東亜戦争通史として、分量的にも手ごろだと思う。 緒戦の勝利は、多くの偶然…

佐藤卓己『言論統制』

半分ほど読んでほったらかしていたが、また一から読み始めた。まだ通読しきってないが、すこぶる面白い。 戦前の軍部による言論弾圧の象徴として戦後さんざん糾弾された鈴木庫三情報官について、彼の日記や著書を丹念に精読して昭和史の裏面に光を当てた見事…

M先生の思い出

小学校五年生六年生時の担任は、中国から帰化した女性のM先生だった。 ある歴史の授業の日の光景は鮮明に記憶に焼きついている。黒板には2枚の大きな地図が掲げられている。一枚は大東亜戦争前の世界地図、もう一枚は大東亜戦争後の世界地図。前者では世界…

黄文雄『日本の植民地の真実』★★★

「反日史観」批判の立場から書かれたこれまでの数々の著作の集大成といったところ。日本による植民地統治が、果たして巷間いわれるごとく現地人を搾取する悪逆なものだったのかどうか。 客観的に日本が植民地でしたことを列挙すると、巨大ダムや道路、鉄道な…