SF

未来へつづく狭き道のり――Lois Lowry "Gathering Blue"★★★★

母を亡くした直後、足萎えのキラは悪意に満ちた隣人に訴えられた。この世界では「弱者」は排除されることになっているのだ。村を支配する守護者たちの住む、大破壊前からある建築物に赴いたキラは、予想とは異なり、そこで働くことになる。母から受け継いだ…

谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』★★★

退屈な日常の中で、なにか面白いことを見つけようと、周りを巻き込みつつ突っ走る超自己中女子高生涼宮ハルヒ。だが、実は彼女こそ、この世界の命運を握っているのだった。 かなりベタで雑な設定である。アニメ化には向いているだろうが、それならそれで、あ…

もぐり

奇しくも稲葉振一郎先生も、アンナ・カヴァン『氷』を読んでいる最中らしい。 http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20060629 (最後の方です) これで読んでない輩を「もぐり」呼ばわりできるというもんです。

[小説]アンナ・カヴァン『愛の渇き』★★★★

とつてもなく傲慢で孤独な女リジャイナの一生を描いた奇作。自伝的作品だが作者に比した女の娘ガーダは物語途中で亡くなる。デカダンというよりは不条理文学というべきだろう。実際のところ、このとんでもない女性に対して嫌悪感を抱くよりも、むしろ自分も…

アンナ・カヴァン『氷』★★★★★

氷に覆われ終末を迎えつつある世界のなかで、幻の少女を追い求める男の放浪を描く伝説の作家カヴァンの遺作。主人公や少女に名前がなく、カリスマ的リーダーも「長官」と符牒でしか呼ばれていない。カフカ的な寓意に満ちた作品だ。滅亡は不可避なのに、妙な…