未来へつづく狭き道のり――Lois Lowry "Gathering Blue"★★★★

kanedaitsuki2007-07-08

母を亡くした直後、足萎えのキラは悪意に満ちた隣人に訴えられた。この世界では「弱者」は排除されることになっているのだ。村を支配する守護者たちの住む、大破壊前からある建築物に赴いたキラは、予想とは異なり、そこで働くことになる。母から受け継いだ織物の才を生かして、年に一度の会合で神話を歌う歌手が着る祭衣の修繕をする仕事だ。それと同時に、新たな織物を作るべく、毎朝森の向こうに住む老婆から染料の仕方も教わる。ところが、大雨の後、老婆もまた亡くなる。
会合の日が迫る仲、村で唯一の友人マットが行方不明になる。キラと同じ境遇の彫刻家トマスとともに、マットの暮らす集落に行くが、彼は「旅に出る」と言ったまま帰って来ないという。会合の日、キラは驚くべき出来事に会うことになる。
全体に静かで重い。最後の数章に来て明るさが見えてくる。タイトル『青を集めて』の意味合いもラストで分かる。世界設定については語られなかったことが多々あるが、ストーリーそのものはこれはこれで完結していよう。ちなみに続編としてマットを主人公にした"Messenger"が書かれている。
作者はニューベリー賞を二度受賞。そのうちの一つ"The Giver"は同様のSF的設定である。

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