世界の隅で輝くもの――Cynthia Kadohata"Kira-Kira"★★★★

kanedaitsuki2007-07-09

2005年度ニューベリー賞受賞作。
差別と貧しさの中、たくましく生き成長する日系姉妹の話。主人公ケイティの姉リンは聡明で学校の成績もよい。何でも教えてくれる自慢の姉だ。

きらきら。姉のリンが教えてくれた最初の言葉。私は「かうあぁ」と発音したけど、意味は分かっていた。分かっていることを、姉も知っていた。「きらきら」は「輝くこと」を意味する日本語だ。赤ん坊の時から、姉はその言葉を使っていた。夜にはよく姉に人気のない路に寝かされ、仰向けになって二人で星を見たものだ。リンは繰り返し言った。「ケイティ、ほら、きらきらきらきら」。大好きな言葉! 大きくなってから、私の好きなものはみな「きらきら」だった。美しい青空、子犬、猫、蝶、カラフルなクリネックス

子供の視点で、決して楽とはいえない日系家族の暮らしを、生き生きとさわやかに描いている。リンが難病にかかってから、両親はさらに激しく働き、いつしか家族はばらばらになっていく。病気が進むにつれ、ケイティとリンの関係も逆転していく。リンはまるで赤ん坊のようにあれこれむずかり、ケイティはその世話をする。困難な時期を過ごすことで、ケイティは成長し、家族もまた一つにまとまっていく。
ある意味ありがちな設定であるが、嫌な感じはしない。ラストのケイティとおじカツヒサの会話は、結末が分かっていたとしても真に感動的だ。

ちなみに最初の方にチェスが出てくる。下手の横好きのおじカツヒサが、天才少女リンに何度も負かされるシーンだ。「俺はアメリカに住む日本人の中で一番だ」と言うおやじはよくいそうではある。本気でへこむカツヒサは同情を誘う。

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