Ludwig Ott"Fundamentals of the Catholic Dogma"★★★★

kanedaitsuki2006-12-10

カトリックの教義に関してCCC(Catechism of the Catolic Church)に並ぶ、ぜひとも持っておくべき書。正統教義について、聖書はもちろん、教父らや、公会議教皇の公文書から豊富に引いて解説している。何が正統教義なのかだけでなく、なにゆえ正統なのかを知りたいという中級者向けといえよう。CCC同様辞書として使えるが、通読にも向いている。ただ小さい文字でぎっしり詰まっており、活字欠けもちらほらある(TANにはありがち)のが難。
原書初版は第二バチカン以前に書かれているが、むしろそれが長所になっているとも言える。たとえばKarl Adamの「カトリックの精神」(The Spirit of Catholicism)など、こうした「現代の古典」を読むことも、カトリックの正統信仰を知るうえで貴重なことであると思われる(邦書ならばさしずめ、岩下壮一『カトリックの信仰』の熟読が必須)。ちなみにアメリカの著名なカトリック護教家(プロテスタント福音派からの改宗者)であるDave Armstrongは代表作"A Biblical Diffence of Catholicism"の中で、聖書とCCC、また著者が偏愛するニューマン卿を除けば、この書から多くを引いている。

http://www.amazon.co.jp/Fundamentals-Catholic-Dogma-Ludwig-Ott/dp/0895550091