誤植

kanedaitsuki2005-06-28

出版物に誤植はつきものではある。しかし、経験的にいって邦書に比べて洋書の誤植率は非常に高いと思う。
チェス本でも誤植(含図面の間違い)をちらほら目にする。『完全チェス読本』第3巻にも傑作なのが紹介されている(pp60-61)。校正責任者の名前の綴りが間違っていたり、目次のページが内容と無関係など、こんにちの邦書では考えられないような誤植まである。
さて、英語の単語の誤植ならまだいいのだが、チェス本の場合、棋譜の誤植となると私のごとき棋力では復元するのが大変だ。
たまにぱらぱらめくっている古典的名著Reuben Fine『The Ideas Behind the Chess Openings』(3版)でもこんなところがある。

One general tip worth remembering is that on e5 by White...d5 is almost always the proper reaction, to prevent White from forming a steamroller in the centre. E.g. after 4 c3 Nf6 5 d4 exd4 6 cxd4 6...Ne4? would be met by 7 Bd5 f5 8 cxd4 while 6...Ng8? 7 cxd4 Bb6? 8 cxd4 is obviously bad. But 6...d5! 7 Bb5 e4 leads to equality.
p12

Giuocco Piano(1 e4 e5 2 Nf3 Nc6 3 Bc4 Bc5)の変化の解説だが、太字にしたところを追っていただければわかるとおり、黒がd4で一度しか駒交換していないにもかかわらず、Ne4のラインでは2度、Ng8のラインにいたっては3度も、白はcxd4を繰り返している。思わず知らず「スターどっきり」でおなじみのマンボNo.5が頭に流れてくる(笑
「白のe5に対しては、ほぼ常にd5が適切な対応だ。それによって白のセンターでの蒸気ローラーのごとき構えを防げる」という文脈をふまえてなんとか復元してみると、

E.g. after 4 c3 Nf6 5 d4 exd4 6 e5 6...Ne4? would be met by 7 Bd5 f5 8 cxd4 while 6...Ng8? 7 cxd4 Bb6? 8 d5 is obviously bad.

という感じだろうか。それにしても3版も出しておきながら、なぜこんな誤植が放置されてるのか謎だ。