伊坂幸太郎『ラッシュライフ』★★★★★

kanedaitsuki2005-07-02

俺、伊坂には五つ★しかつけてない気がする(笑
この作品では五つの視点が交錯しながら物語が進み、一つに収斂していくという感じではなく、それぞれがそれぞれで完結する。
他の伊坂作品同様、ミステリだということを意識せずに読めるが、死体が勝手にバラバラになり、いつのまにかくっついて復活する(!)という事件は、ミステリ的でもあるし、ミステリを超えてもいる。おそらくそれのみを一つの物語として描くと違和感があるのだが、五つの視点をからめているので、不思議に自然だ。
自然というのは伊坂を論じる場合の一つのキーワードで、構成がこれほど構築的でありながら、一部のミステリ作家に見られるような人工的な印象を受けない。やはり突出した文章力が不自然さをそぎおとしているのだろう。強靭な物語構築力に、卓抜な人物造形力、そして流麗でリズミカルな文体、ほんとに凄い作家である。
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