重いが後味良し――生野慈朗監督『手紙』★★★★★

kanedaitsuki2007-11-21

よかった。何より、主人公武島直貴役山田孝之が素晴らしい。誤って殺人を犯して終身服役中の兄を持つという境遇から人との接触を控えて生活するという「静」と、幼馴染とコンビを組んでお笑い芸人として舞台に上がる「動」、という両面性を持つ難しい役所だが、見事に演じていた。普段感情を出さない直貴が、朝美(吹石一恵)に過去を打ち明けるシーン、由美子(沢尻エリカ)に感謝の言葉をもらすシーンが印象的だし、漫才自体が片手間でなく芸として成立しているところに感心した。相方の祐輔役は『パッチギ!』でも脇役で活躍した尾上寛之。物語の収束も、奇麗事ですますこともなく、かといって雲をつかむような曖昧決着に終わることもなく、納得が行く。
まあ、何より沢尻エリカが可愛いよ(笑 工場の食堂で働く純朴な恰好や母親姿も拝めるし。
しかし『ガリレオ』といいこれといい、原作の東野圭吾こそ凄いのかな。実は読んだことないのだ。

手紙 スタンダード版


映画『手紙』公式サイト