マンネリズムの極地――倉島圭『24のひとみ』1〜4巻(続)★★★★

kanedaitsuki2007-10-22

つい最近まで小説原作の漫画かと思い込んでいた。そうか、学級崩壊叫ばれるなか、先生と生徒の純な交流を描いた物語が今こそ必要とされているのか。でも、なんでチャンピオンで?
蓋を開けてみるとタイトルの印象とはまったく逆で、嘘つきの女教師に生徒たちが振り回されるという設定のギャグ漫画であった。すぐに「絶望」してしまう教師も困ったものだが、洒落にならない嘘をつきまくる教師も困ったものである。しかし、それだけではあまりに世界が狭すぎるように思えるし、実際、基本的な展開もオチも同一である。あとはこのノリにはまるかはまらないか。
まず気がつくのは、セリフの掛け合いに重点が置かれていること。いわゆる漫才のボケとツッコミのスタイルで、会話が進められて各話一気に終わりまで読まされてしまう。セリフに重心があるからか、背景が内容とまったく無関係であったりするが、その演出過剰によって独特のテンポを作り出すことに貢献してもいる。いわば、ギャグ漫画というよりも、漫画を使った「お笑い」と言える。ほとんどフリップ芸だ。これは過去作品『メグミックス』に、より顕著である。
おそらくこのような毒性を持ったミニマリズム作品は過去にもあったろうが、不条理の極北たる榎本俊二が方向転換した今、アンチ癒し系漫画の旗手として注目したい一人である。

24のひとみ 4 (4) (少年チャンピオン・コミックス)