絲山秋子『イッツ・オンリー・トーク』★★★★

デビュー作となる表題作は、売れない絵描きの女性の一風変わってはいるがテンションの低い普通の生活を描くオフビート小説。全体にまとまりがなく、たしかにそれがこの作品の味なのだが、たんなる散漫一歩手前とも思う。
もうひとつ収録されている「第七障害」は、乗馬の大会で転倒し、その結果馬を死なせた女性が、その罪悪感から立ち直るまでの話。この作家得意の、友達以上恋人未満の関係を描いていて秀逸。
この作家は壊れているようで、しかし圧迫感のないやわらかい文体が魅力だ。こういう小説を教科書に載せてほしいねえ。
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