2005-04-07 好きな句 俳句 水の地球すこしはなれて春の月 正木ゆう子まず宇宙に飛び出して地球と月の並ぶ光景が見えるが、「春の」という措辞で地上の現実に引き戻される。してみると、「すこしはなれて」は物理的な距離なのではなく、感覚的な(男と女のそれのような)ものだとわかる。そしてこの場合、やはり水の冷たさのやわらぐ「春」がふさわしいと得心する。 きわめて俳句的な美的センスと、こんにちの漫画や映画にあるような軽いセンスがほどよく融合していた優雅な名句だと思う。