サイモン・シン『フェルマーの最終定理−ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』★★★★ 足立恒雄『フェルマーの大定理が解けた!−オイラーからワイルズの証明まで』★★★

300年もの間数学者たちを悩ませてきたフェルマーの大定理をめぐるドラマ。よくいわれるように、フェルマーの大定理は、問題の意味を理解するのは小学生並にやさしいのに、証明するのは非常に難しいという、数学特有の面白さがある(とはいえ、この手の問題はことかかないのだが)。もっともドラマティックなのは、ワイルズが証明を発表したあと、論文査読中に大きなギャップ、つまり欠陥が見つかったあたりだろう。数学界の慣例に逆らって孤独のうちに研究を続けてきたワイルズの心中はいかばかりだったろうか。おそらく一度ならず証明をあきらめようと覚悟したかも知れないが、今度は数人の信頼できる数学者を引き入れ、ついに完全な証明を果たしていく。挫折から栄光という、まるでスポ根のごとき展開には誰しもワイルズに共感することだろう。
ジャーナリストが書いた前者の本はこのドラマを伝えて余すところがない。後者はブルーバックスにしては高度で、数学部の学生レベルでないとすらすら読めるようなものではない。もちろん、私もわからないので流し読みですませたが、時間があればひとつひとつ数式を追って呼んで見たい。それくらい含蓄のある証明ではあるのだ。
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