橘玲『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』★★★★

タイトルだけ見るとあやしい自己啓発かともまがうが、中身はシビアでリアルな実践的経済読本。著者は、世間的に関心は高いが中身のよくわからない「不動産」と「保険」をとりあげ、必要最低限の知識を提供している。たとえば「不動産」は(「保険」もだが)一種の投資には違いなく、持ち家は必ずしも(というよりも多くの場合)経済的に得とは言えない、ということをデータを挙げて論証している。いわば日本人の持ち家への固執は、一種の信仰であり、合理的行動ではない。なるほどこういう見解は多くの反発を呼ぶだろうことが予想される。しかし、そういう反発が起こるということこそが、それが「信仰」であることの証左なのだろう。著者の言うことがどこまで正しいかは疑問の余地があるが、自ら経済設計を立てるうえで、思考のたたき台として役立つことは間違いない。
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