世界は妄想である

 「世界はマーヤーである」とは、ヒンドゥー教の根本思想である。マーヤー(maya)とは、「幻影(illusion)」「見せかけ(appearance)」等を意味する。表題は、リチャード・ドーキンス『神は妄想である』をもじってみた。もちろん、両者は真反対の主張である。
 「世界はマーヤーである」を、頭(mind)で理解してしまうと、誤謬に陥る。そこから「世界に生きる意味なんてない」という虚無主義や、「世界は幻想なのだから何をやってもいい」という無道徳主義が出来する。それゆえ、一般には毒になる。この言葉は頭ではなく、魂(heart)で感じるべきものなのだ。
 魂で受け止めることができるならば、この世を深く、高く生きる薬になる。