琵琶湖に十字架、画にはなるわな――夏海公司『葉桜が来た夏』★★

kanedaitsuki2009-04-06

 女性だけで構成される異性人アポストリが襲来。互いに殺戮を続ける戦争の後、壁で囲い込まれた琵琶湖周辺で、地球人とアポストリは共棲を目指す。そんな中、家族をアポストリに殺された少年と、家族を地球人に殺された少女が出会う。
 異種族の共棲(共生)はSFの古典的テーマではある。この作品ではそれ自体は背景に退いているが、突っ込みすぎず浅すぎず、いい塩梅である。しかし、少女(アポストリ)の設定がどうも中途半端。血を吸うとか要るんだろうか。敵対から協力への移行もあっさり気味。もう一山二山あってもいいはず。
 アイデアや文章は悪くない。次回作に期待(!)。


葉桜が来た夏 (電撃文庫)