「罪と罰」、なんてのどかな時代もありましたっけ――入間人間『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん―幸せの背景は不幸 』★★★

kanedaitsuki2009-01-06

 拉致監禁された過去を持つ女の子が、病気オブハートな状態のまま成長して自ら兄妹を拉致監禁。その幼児体験を共有する男が、なんとかその事態を収拾させようと奮闘。というへヴィな話を軽いタッチで描く。
 西尾維新と比較されることもあり、特に戯言シリーズとの類縁性は高い。いちおうミステリとして読めるので、逆にこちらがメフィスト賞であっても不思議ではない。ただ、西尾が描かずに済ますところもざっくり描いており、えぐさでいえばこちらが上。この辺はラノベの懐の深さというか電撃文庫さんの懐の深さというか。
 軽いノリから急転してサイコな展開になるところは、『ひぐらし〜』も想起させる。世にはヤンデレという萌えジャンルもあるらしいから、需要がけっこうあるのだろう。私は萌え要素そのものよりも、プログレのようなヘンテコな展開と文体を愉しんでいる。
 シリーズもので続きも読むつもりなので、とりあえず星はこの程度で。


嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん―幸せの背景は不幸 (電撃文庫)