唯一無二の会計小説――山田真哉『女子大生会計士の事件簿』DX.1・DX.2★★

kanedaitsuki2008-10-10

 気づかなかったが、実はベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学』の著者なのね。
 筆者があとがきで言うように、ハードな経済小説ではなく、小説を用いた会計学入門書のような按配。ミステリ的味わいのある軽い短編集である。小説としては軽すぎ、会計入門書としては浅すぎ、と欠点をあげつらうことはできるが、これまであまりないタイプの(成功例もない)作品群ではある。語学書などに似せて、小説部分に、詳細な解説をつける手もあっただろうが、それだと、おそらくこれほど売れなかっただろう。アイデアの勝利。
 これもまた『会計士藤原萌実の事件簿』とヒロインのフルネームを入れたら売上2割増などと余計なことを考えた。


女子大生会計士の事件簿〈DX.1〉ベンチャーの王子様 (角川文庫)