未来の漫画のスタンダード――石黒正数『ネムルバカ』★★★★★

kanedaitsuki2008-03-27

石黒は、画力、物語構成力、言葉の選択、どれをとっても一級品で、いわゆるアーティスティックなコミックを描ける多くのスキルを持っているはずだが、それらをすべてポピュラリティのある「大衆文化」としての漫画へと変換している。発想の独創性という通俗的な意味での天才の枠には入らないが、たしかにこれは他に真似のできない優れた才能である。最近で最もおさえておくべき漫画家の一人だと言える。
ネムルバカ』はロッカー(女)と凡人(女)のバディもの(といっていいのかどうか)。下町メイド喫茶コメディ『それでも町は廻っている』も第4巻が出たばかり。個人的には後者を押すが、いちおう一冊で完結しているこの作品を取り上げておきたかった。

ネムルバカ (リュウコミックス)