ハートで感じる論理学――野矢茂樹『入門!論理学』★★★★★

kanedaitsuki2008-02-19

快著である。記号を最低限しか使用しておらず、語り口も堅苦しくなく、ユーモアたっぷりである。 論理学と自然言語とのギャップを埋めようという著者の試みは成功しているのではないだろうか。標準論理と非標準論理を「神の立場」と「人の立場」という風にあっさり割り切っているところもよい。哲学サイドから論理学を扱うと、案外論理的でなくなったりするのだが(笑)、さすがにそういう基本的な失敗はしていない。野矢の哲学的著作には違和感を覚える私だが、この本は野矢の教職者としての力量をよく表していると思う。

入門!論理学 (中公新書)