NHK杯 深浦康市王位―渡辺明竜王 戦(1月27日放送)

真部一男九段逝去については書く機会がなかった。幻の4二角打の話など壮絶すぎて言葉もない。すぐ後日大内延介九段がまったく同じ局面で件の手を指したというのも、神がかり的なできすぎだ。しかし、先崎学八段によれば、大内は真部の棋譜を知らず、たまたまだと言う。ひとまず合掌。
渡辺明竜王の棋風について解説の森下卓九段は適確に「戦いながら玉を固めるのが上手い」と言っていたが、その通りの展開で深浦をねじ伏せた。あまり序盤達者とも思えないが、不利な局面でも物怖じせず堂々と指し回す。私は以前から渡辺を「名人」の風格ありと見ていた。棋士批評に厳しいmaroさんすら「ちょっと見ぬ間に渡辺明が強くなっていた」(戎棋夷説08/01/30)と最近の日記で語っている。