猪熊弦一郎美術館「エルネスト・ネト展」

というわけで昨日5日に行ってきた。内容についてはあんとに庵さんによる詳細な解説があるのでそちらをどうぞ。
「あんとに庵備忘録」
http://d.hatena.ne.jp/antonian/20071003

入口で靴を脱がされた上、テープで足裏のゴミを取らされてから、巨大なテントの中に入る仕組。なんというか、人間の消化器管の中に入っているみたい。ただし、色の基調は白。柱のような部分は裏に色がついていて、ぼやけた感じで透けていてきれい。ぷにぽよなクッション様のものが散在し、閲覧者はみな吾妻ひでおの漫画に出てくるぬた魚のようにだらっとしてしまう。私も小一時間ほどごろりとしてみた。
美術館に行くとどこか身構えて、交感神経が働き感覚を研ぎ澄まされていくことが多く、しかるがゆえに、見終わると異常に疲れたりするのだが、この作品はまったく逆に、副交感神経が働き、感情が自然に抑制され、くつろぎを感じ、闘争本能が鈍磨していく。それが作者の意図なのであれば、成功しているのではなかろうか。
しかし、これ「美術」なのか、と非美術家としては疑問。こういう感覚はフランフランみたいな日常的なインテリアデザイン向けという気もする。もちろん、ああいう大掛かりなものは「美術」という枠組でしかできないのだろうが。