Larry Kaufman"The Chess Advantage in Black and White:Opening Moves of the Grandmasters"

kanedaitsuki2006-05-06

チェスをはじめてある程度してとまどうのが序盤の作戦だろう。将棋ならば、たとえば四間飛車+美濃囲い一本で対処できるところが、チェスの場合、最初の数手の相手の応手によって戦型が変わらざるをえず、さまざまなオープニングについて知っておかねば対処できない。オープニングの基本的なアイデア(中央の支配、N・Bの展開、キャスリング)の習得から、明確な序盤戦術の学習との懸隔が非常に大きいわけである。
この本は、網羅的オープニング本とは違って、白黒それぞれについて、著者おすすめの手のみを紹介することで初期の変化を限定している。たとえば白番ではルイロペス・エクスチェンジバリエーションを選択することで、a6タイプの他の変化をばっさりカットできる。シシリアンではBb5タイプ(モスクワヴァリエーション、ロッソリーモヴァリエーション)を選び、d4タイプのシシリアンの迷宮に入らずにすむ。
このような「中間的」なオープニング本は少ないので貴重な存在だろう。棋譜も2000年以後の比較的新しいものを収録している。そろそろオープニングを勉強したいが、一つ一つの戦型に習熟する時間がなかなか割けないという方にはもってこいかと思う。
ちなみに、Silmanのサイトの書評では、USCFレイティングで2000以下だと500ページもの本はきつかろう、かといってGMクラスでは物足りない、2000-2500くらいのプレイヤー向け、とある。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0812935713/qid=1146879537/sr=1-1/ref=sr_1_8_1/249-1083405-6954703