伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』★★★★★

kanedaitsuki2005-06-04

というわけで伊坂のデビュー作を読んでみた。参った。デビュー作からこのテンション!
コンビニ強盗を働いた主人公がひょんなことから明治以来本土と交流を閉ざしているという孤島に連れていかれる。そこにはしゃべる案山子がいて、島民の精神的支柱となっている。時をおかず案山子は何者かによって殺害される・・。
デビュー作にしてすでに、ありえそうにないのに異様にリアルな設定、張り巡らされた伏線がラストに収斂していくという伊坂お得意の構成を持っている。ただ視点が基本的に主人公のものなので、のちの複雑なザッピング構造を持つ作品に比べればシンプルで読みやすい。
島に欠けているものは何か、というのも重要な謎となっているが、その答えはいささかあっけにとられる。しかし、深く深く納得してしまうのだ。今まで読んだ作品の中では、ラストの清新さが際立っている。やはりエンディングはこうあるべきだ、ということで五つ星にしました。
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