チェス本紹介

kanedaitsuki2005-05-03

興味のないひとにはなんの意味もないけど、chess項目続きます(笑

最近、前世界チャンピオン・カスパロフによる『わが先達者たち』というシリーズが刊行されている。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1857443950/qid=1115113973/sr=1-3/ref=sr_1_10_3/249-6981532-5636363
歴代世界チャンピオンを中心としたチェス史の大著。カスパロフの計画では、全10巻にも及ぶらしい(現在4巻まで)。これがいかにものすごい偉業かは部外者にはなかなかわかりづらいかも知れない。世界チャンピオンによる世界チャンピオンらの棋譜の解説、というだけでも感涙もの。将棋でたとえるなら羽生善治による大山康晴棋譜の詳解みたいなもんだ。
チェスプロブレムで国際的評価を受けている英文学者若島正先生は、フィッシャー巻についてこう述べている。
http://www.wombat.zaq.ne.jp/propara/diary/200412.html

2004/12/27

 KasparovのMy Great Predecessors IV到着。いよいよ本命のフィッシャー篇である。フィッシャーの父親は誰かという謎(母親はソ連のスパイかもしれないという嫌疑でCIAが調査をしていたらしく、そのファイルを、来年翻訳が出るはずの話題本Bobby Fischer Goes to Warの著者であるEdmondsとEidinowが閲覧させてもらったという)に立ち入るなど、いささかどうかと思えるところもあるが、とにかく参りましたと言うしかない。
 カスパロフに、そしてチェスというものに、激しく嫉妬する書物である。すべての将棋関係者は、この書物に匹敵するようなものを将棋がこれまでに生み出したかどうか、真剣に考える必要があるだろう。将棋は日本文化ですとお題目のように唱えるだけでは、文化でもなんでもない。これだけの書物を残せるかどうか、それが文化というものではないか。目下のところ、彼我の差はあまりにも大きい。

将棋の定跡のシステム化なるものも10数年前あたりからちらほら言われはじめたものの、いまのところECOのごとき序盤大辞典が出る気配すらない。国外で将棋に興味を持つものが出ても、手探りで理屈を覚えていくしかなく、どうも先立つものがない感じだ。
それにしても、カスパロフという人、チェス界を引退しロシア大統領戦に立候補、いよいよ本格的に政治活動をしようという時期に、いったいどうやってこんな本を書く時間をつくっているのやら。そのバイタリティといい、チェスのスタイルと同じく、なんとも汗くさい男よのぉ。チェス界の清原か?(笑