ポール・クルーグマン『良い経済学 悪い経済学』★★★

いろいろなことが述べられているが、肝要なのは、国家を企業と等値して国際競争力なる曖昧な概念を持ち出すような考え方は、ごく普通の経済学から見て、トンデモだということだ。自由貿易は、双方にとって良い面の方が大きい。ところが実際には、クリントン政権下では形を変えた保護主義である戦略的貿易論が幅をきかせ、トンデモが「常識」とされていた。経済学の本場のアメリカですら、このていたらくなのだから、わが国の状況はおおむね推察されよう。
よい本である。しかし、今ではそれほどのインパクトはなくなっていると見て、点は辛めにつけた。ご容赦されたい。
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