靖国判決

首相靖国参拝「職務ではない」=憲法判断せず訴え棄却・大阪地裁判決
小泉純一郎首相の靖国神社参拝は政教分離を定めた憲法に違反するとして、第2次大戦日本兵として戦死した台湾人の遺族を含む236人が首相や国などを相手取り、1人当たり1万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、大阪地裁であった。吉川慎一裁判長は「国家賠償法上の職務に該当する行為とは言えない。参拝による法的利益の侵害もなく、請求は理由がない。違憲性を判断するまでもない」と判断。参拝の公的性格を否定し、原告の請求を棄却した。原告側は控訴する。 

法律に詳しいわけではないが、そもそもこの事例は事件性がないのだから、「請求は理由がない。違憲性を判断するまでもない」というのは法的にしごくまっとうな判断ではないか。前回「違憲」という裁判長の支離滅裂な私的意見を附した福岡判決でも、請求そのものは退けており、事件性を否定している。
学会の定説では「私的なら合憲」で合意がとれているようだが、戦没者慰霊のための唯一の国家的機関への首相参拝が公的でない、というのも変な話ではある。私的公的の区別を、拝礼形式による細事によって決めるというのも実に非効率的で、文脈を違えるが、まるで「パリサイ主義」のごとき発想だ。
少なくとも国家による大規模な援助がなく、国民への信仰や参拝の強制をともなわない限り、首相の「公式参拝」が社会的道義に反するとはいえない。法律技術的な問題として「違憲」ということなら、憲法を修正する方が適当。自衛隊とは異なり、このケースは憲法解釈によって合憲にできる範囲内と思うが。