今週の読売俳壇

読売俳壇は休刊日を除き、毎週月曜発表。選者を選んで投句するシステム。現在の選者は森澄雄、福田甲子雄、宇多喜代子、正木ゆう子(敬称略)。選者の嗜好が反映されやすいので、入選句に一定の傾向がある。
5月10日分の気になる句を挙げる。

(正木ゆう子選)
日本海の怒涛の前の桜貝 上田保太郎

面白い景なのだが、どうしても「前の」という措辞が甘くうつる。同じようでも、

(福田甲子雄選)
青空の奥から桜吹雪かな 桜井京子

の「奥から」は働いている。大げさだが桜の散るさまの美しさを適確にとらえている。前句は単純な取り合わせの妙で終わっているが、後句は動きのある鮮やかな描写になりえて王道である。