Hieromonk Damascene"Father Seraphim Rose: His Life and Works"

kanedaitsuki2009-12-03

 日本ではほとんど知られていないが、世界的に著名な正教会の大著作家セラフィム・ローズの生涯と思想を紹介した著作。
 1000ページを超える大作だが、ふと読み始めたらとまらないほど面白い。まだ最初の方しか読んでいないが、気になった箇所を引いてみよう。


ニーチェの有名なフレーズを反復して、ユージン(セラフィム・ローズ)はアリソンに言った。神は死んだと信じている、と。「彼は神が存在していたとも信じていた」とアリソンは言う。「神は人々によって箱に入れられた。人々は自らが創り出した神の観念を信じているのであって、神のリアリティを信じてはいない(・・・)」」(p.43)
「ポモナ大学の彼女の同級生の内で、ユージンは最もあからさまな無神論者だったが、アリソンが認識するところ、彼はまた最も霊的でもあった。(・・・)
ユージンはのちに書いている。「不正にして無慈悲に見える神を憎む、真に実存的な無神論者は、ある霊的状態にある。それは最も信心深い人間にさえ不可解な方法をとる真の神を、真剣につかみとろうとする試みなのだ。(・・・)彼らの魂の中でキリストが働いている。ニーチェは自らをアンチキリストと呼んだが、それによって彼がキリストを強く求めていたことが分かる」(p.46)


 我が意を得たり。私もずっとニーチェ隠れクリスチャンだと思っていた。


Father Seraphim Rose: His Life and Works