お遍路の真実――家田荘子『四国八十八ヵ所つなぎ遍路』★★★★

kanedaitsuki2009-10-08

 真言宗僧侶でもある著者の歩き遍路の記録。「つなぎ遍路」とは、一度にではなく、何回かに分けて八十八ヶ所を廻ること。
 ガイドブック的な使いやすさ・分かりやすさはないが、歩き遍路ならではの、トイレの有無や道の選択についてのアドヴァイスなど、貴重な情報もある。ただし、総合的な情報などは、まとまって書いているわけではないので通読する必要がある。
 この本の美徳はむしろ、お遍路の道中出会った、善意の人々とともに、心無い人々のこと、そしてそれに対する率直な怒りの念を書き記していることだ。当たり前のことながら、お遍路もキレイゴトばかりではない。それにもかかわらず、読むものに、お遍路への出立をかきたてる力のある一書である。


四国八十八ヵ所つなぎ遍路 (ベスト新書)