ラノベ版青春残酷物語――柴村仁『プシュケの涙』★★★★

kanedaitsuki2009-03-15

 傑作。タイトルが何だかなと思いつつ読みはじめたら止まらなくなった。ミステリ仕立ての前半部と恋愛少女漫画(ガールミーツボーイ)風後半部から成る。
 キャラの立て方、設定、構成、文章と、非常に繊細できめ細かい。とりわけ由良と吉野の関係を描いた後半部が良い。文化祭の日に、文化祭と無関係に(というか妨害行為として)渡り廊下の上で二人でしゃぼん玉をつくるシーンにぐっときた。ラストの収束も綺麗。
 ラノベにしてはエンタテイメント性がやや薄いので★一つ減らしたが、実際には限りなく5に近い4である。感受性豊かな中高校生にぜひ読んで欲しい。


プシュケの涙 (電撃文庫)