哲学の東北――加藤尚武編『哲学の歴史 7 18-19世紀』★★★

kanedaitsuki2008-04-29

中央公論新社の哲学新シリーズ。「歴史」と銘打ってはいるが通史ではなく、重要人物や学派などの論考をまとめたもの。
若い頃はこの手のシリーズが出たら四の五の言わず、全部買っていた。今のところはドイツ観念論本のこれと、中世哲学の3巻のみ購入読了済。
加藤尚武は以前からファンで、流行を追わない冷めた調子が好きである。「ドイツ観念論には歴史に残る一言もない」などと言うヘーゲル学者が他にいるだろうか。世評のいい長谷川宏訳を「翻訳ではない」とばっさり切っているのも清清しい。
全体に大衆受けを狙った「わかりやすい」記述ではなく、最新の研究成果を踏まえた、やや専門的な論述という印象を受けた。「入門」のつもりで気軽に買ったらひどい目に合うだろう。特定の分野に興味のある本気の人なら、値段に見合う十分な量があるので損はしないはずである。

哲学の歴史 7 18-19世紀 (7)