次回作に期待――浦賀和宏『堕ちた天使と金色の悪魔』☆

kanedaitsuki2007-10-30

八木松浦シリーズ第七作。コンスタントにシーズンごとに上梓していたが、今作は前作から半年以上たっている。さぞや執筆に手間取ったのだろうと思いきや。
松浦視点で描かれた前作『世界でいちばん醜い子供』とシンクロする形で、同時期を八木視点で補完した前半部と、再会し再修復しはじめた八木松浦の関係を描く後半部で構成される。しかし、ひきがひどい。たしかにシリーズものだということは置いておいても、これまでは一応一作一作はそれなりに完結したものとして読めたが、今回は完全に次作へのつなぎになっている。これなら、前作、あるいは次作と前編・後編のような合本で出す方が整合性があったような気がする。まあ、はなからこういうスタイルで書かれていればそれほどとは思わなかったであろうが。ただし、全部読み終わったあとには、また評価が変わっているかも知れない。
作中に左翼批判が出てくるが、今となってはこれ自体が紋切型でうざい。

これまでのシリーズタイトル。

「松浦純菜の静かな世界」
「火事と密室と、雨男のものがたり」
「上手なミステリの書き方教えます」
「八木剛士史上最大の事件」
「さよなら純菜 そして、不死の怪物」
「世界でいちばん醜い子供」
「堕ちた天使と金色の悪魔」(紹介作)