もえたん製作委員会『moetan Ⅱ』上下巻★★

kanedaitsuki2007-05-24

大学受験に必要な単語集+萌えストーリーという構成。例文がオタクなネタから来ているというのが特徴。
とりあえず「受験参考書」と見なしてみる(これは表紙に明記されていることでもある)。まず、上下巻に分かれているのはどうなのだろうか。単語量から考えれば一冊にまとめられたはずで、通常の単語集の二倍の額を払わされることになる。使用の際も不便であろう。ただし、単語のチョイスは悪くないと思う。
例文が特異なのは製作者の意図であり、また前作が支持された由縁でもあるから、異議を唱えるには及ばない。しかし、肝心の英語の例文の方が、文法的に変であったり、そうでなくとも自然とは言いがたいものがあるのは学参としてはよろしくなかろう(わずかだが誤植もあり)。ちなみに元ネタとして、FFやDQからなのはまだしも、コアなギャルゲーあたりからとられているものがあるが、ほとんどの人にはわかるまい。
ストーリー自体はライトノベルとして標準(受験を控えた男子高生が記憶を失うという奇病に冒された幼馴染じみと云々)なのだろうが、いかんせん、英文と和文のギャップが激しすぎ、かといって説明がついているわけでもなく、英語学習には役立たない。単語集ともまったく無関係である。むしろ、別冊になっている和文ライトノベル調)をなくし、英文中の単語・熟語にちょっとした註を入れるようなスタイルの方がよかったのではないか。和文を求めるファンに対しては、リライトしたちゃんとした本を別に作るか、オンライン上で発表する手がある。
萌え+勉強というアイデアは秀逸だと思うが、海千山千の学参の世界に見合うものを作るのは非常に困難だということが改めてわかった。といっても、学参の側にもっと優秀なスタッフが入れば、もっとよいものが出来そうな気もする。冒険者に幸あれ。

http://www.amazon.co.jp/moetan-2-%E4%B8%8B/dp/4915540995/ref=pd_bbs_sr_3/503-5734487-5319958?ie=UTF8&s=books&qid=1179964888&sr=8-3