先帝陛下のA級戦犯発言問題

昨日あたりから鬼の首でもとったかのような報道が目立つが、そもそも天皇の個人的発言を政治的利用することは慎むべきだろう。分祀論にはずみがついたなどとうかれている文化人らの中には、もともと天皇制に反対か、違和感を抱いてきた者も少なくないはずで、言動矛盾もはなはだしい。一天皇の発言を絶対視するなど、ほとんど「戦前回帰」ではないか。左派は今こそ今回の騒動に対して、沈静化の努力をすべきなのだ。
理由はともあれ小泉首相は参拝に影響なし、としているし、それが当然である。分祀は教義上不可能なのだから、天地が逆さまになっても分祀されることなどありえない。もしすれば靖国神社アイデンティティは崩壊してしまう。過去に遡ってやり直すこともできないからA級戦犯合祀の妥当性は今日的な問題ではありえない。いちいち言うまでもないが、サンフランシスコ講和条約A級戦犯靖国に合祀することを禁ずる条項があるわけでもない。問題となるのはメモの信憑性、資料的価値のみに絞られているのである。
Dr.マッコイさんなどは、今回のメモ自体「捏造」の可能性が高いと言われている(「昭和天皇メモを信じるものは不敬である」http://d.hatena.ne.jp/drmccoy/20060721/p1)が、私は真偽についてはっきりいま判断する材料がない。ただ気になるのは、このメモの発見のあまりのタイミングの良さである。時期総裁選を見越した何らかの策動でもあるのかと勘ぐりたくはなる。