第77期棋聖位決定五番勝負 第3局

産経将棋WEB
http://www.sankei.co.jp/edit/shogi/kisei/077kisei_03.html

3タテで佐藤が棋聖位防衛。やはり鈴木予告通りの早石田だったが、凄まじい力将棋。『5五の竜』とかにでも出てきそうな将棋だ。

ついでなので、最近の佐藤将棋の魅力についての記事を引こう。
http://www.sankei.co.jp/edit/shogi/shogi.html

≪定跡打ち破る “新手”真骨頂≫

 最近の佐藤将棋は“佐藤新手”と呼ばれる奇抜な手を繰り出したり、勝った局面が再出現しても「違う将棋を指したい」と、あえて手を変えて力将棋に持ち込む手法が目立つ。とくに前年度、羽生善治三冠と繰り広げた4タイトル戦で強く印象づけ、今期棋聖戦でも異彩を放った。

 第3局の石田流の将棋。角交換から互いに角を打ち合った局面で、第1局で佐藤は角を5四の地点に引き、この手が前例のない“新手”で話題となったが、今度は9分考えて7四の飛車と交換したのだ。
 △5四角について佐藤は「引くとどうなるんだろうと思っていた」と日ごろの疑問を実戦の場で試したことを将棋専門誌で語っている。

 一方、鈴木は佐藤の別の一面を4日の前夜祭で明かした。
 「1局目の佐藤さんは居玉のまま指してきたので正直、面食らった。将棋を習ったとき、まずは自玉は囲えと教わったのに、プロでも居玉のまま指す人がいるのかと驚いた」と話したのだ。
 佐藤の玉は38手まで動かなかったが、第3局ではさらに居座り続けて、動いたのは実に112手目だった。棋界の定跡までも打ち破るのが佐藤将棋の真骨頂なのだ。

 数年前、佐藤は将棋専門誌に「僕の将棋は誰もまねをしてくれない」と“嘆いた”が、これはまねをしないのではなく、まねができないのではないか。1秒間に1億と3手読むと言われ、緻密(ちみつ)流の異名をもつ佐藤だからこそ“佐藤新手”が生まれ、定跡をはずした手が指せるのである。

関西将棋会館将棋道場に通った頃、いろいろな戦法をためしていた。元奨励会出身アマ強豪鈴木英春さんの本で居玉のまま戦う戦法を知り、何度か試したことがある。将棋仲間になったひとに「君は居飛車党?振飛車党?」ときかれると、私は冗談半分で「居玉党」と答えたものだ。