NHK杯 丸山忠久九段―羽生善治三冠戦

手羽生の角交換型向かい飛車(ゴキゲン中飛車からのtranspose)。2五歩を桂で取る仕かけが機敏かと思いきや、丸山は盤面右半分を相手にしない方針で玉頭に駒を集めていく。中盤角の打ち込みに丸山困ったと思える局面で、時間を投入して長考の末6六角と据えたのがなかなかの手で、羽生陣を押しつぶしていった。羽生にしてみれば、将棋にさせてもらえず、完敗である。
これで決勝は丸山九段対渡辺竜王。愛する山崎六段を破った渡辺竜王に勝ってほしいところだが、実際には既に勝負がついているのだった。森九段は控え室の盤面を写した画面に向かって「間違えろ!間違えるんだ!」と呪文を唱えるそうだが、リアルタイムでないから、さすがにさような魔術は通用しまい(笑 両者とも容易に土俵を割らないだけに、終盤のもつれあいが愉しみではある。