愛子皇后論を擁護してみる

まず、12/6エントリーに対するrice_showerさんの以下のコメントへの応答。
http://d.hatena.ne.jp/kanedaitsuki/20051206/

私としては、直系男子>直系女子>(直系に継承者が無ければ)傍系男子(今なら旧皇族)。  女帝は例外的緊急措置、次なる継承までのバッファーとして受容、という感じですかね。  drmccoyさんの所でも述べたように、皇室維持には時代による“価値の改変”も必要だし、また女帝には歴史的正統性も有るし、持統天皇時代には文化が栄えた、なんて例も有るようですし、敢えて反対する理由は無いと思っています。

女帝は例外とおっしゃる一方、「皇室維持には時代による“価値の改変”も必要だし、また女帝には歴史的正統性も有る」ともおっしゃるのは、矛盾にあらざるやと思います。
歴史的正統性は直系男子≧傍系男子>>>>>直系女子にあるのが事実で、なにゆえこの順序を逆倒なさるのか私には理解できません。かりに「時代による“価値の改変”」を認めるならば、「女系天皇」を容認することも是としなければならないはずです。「女系天皇」を容認すれば、もしかしたら文化が栄えるかもしれない。
さて、男系維持を前提したうえで「女性天皇」誕生(愛子内親王殿下ご即位)を容認した場合、次代の天皇はどうするのでしょう。これまでの女性天皇は未亡人かもしくは生涯独身です。伝統に従うかぎり、愛子天皇は一生独身が義務づけられますから、皇子皇女はもうけられることなく、皇統断絶となります(佳子内親王殿下、真子内親王殿下のご即位を考慮に入れたとしても、わずかに延命するだけです)。
歴史的に皆無であり、異常手段である男子皇配をとるにせよ、旧皇族方からとるというのは単なる願望でしかありませんから可能性は低い。そうなると、民間からとるよりない。男系維持の原則から言えば、愛子天皇の皇子皇女は皇位継承できないはずですが、どうやってそれを阻止するのでしょう。以前書いたとおり、いったん愛子天皇が誕生すれば、世論感情は愛子天皇の第一子である皇子もしくは皇女の皇位継承を望むであろうことはあきらかです。そのような状態になる前に、「女性天皇」をこそ阻止しなければ、男系維持は困難ではないかと思います。

愛子天皇ではなく愛子皇后ではどうか、というのが中川八洋氏の提案です。川西正彦さんは懐疑的http://antilabor.cocolog-nifty.com/blog/2005/11/ですが、愛子皇后論はホワイトプロパガンダとして有効だと私は思います。
世間的に愛子天皇を要望する層は、おそらくは(ここは単なる推測)理論的に天皇を期待しているのではなく、情緒的にそうなのだと思われます。それゆえ、愛子皇后の誕生は、そうした期待に対する感情的な満足を与えるでしょう。というのも、一般国民は天皇皇后を同等に感じているからです。
また、愛子皇后の誕生は、系の統合という意味で、「旧皇族今上天皇の共通の祖先は600年ほど前にまでさかのぼる云々」という反論をやわらげる効果があります。
とはいえ、愛子皇后の実現可能性は、現実的にはかなり低いでしょう。愛子内親王殿下に、そのようなことを強制するのも好ましいとは思われません。しかし、女系天皇女性天皇容認論に対する対抗言論のひとつとしては有効かと考えます。