非常階段『ウィンダム』★★★★★

kanedaitsuki2005-07-24

(写真は『真・雑音伝説』のものです)

世には純粋ノイズという音楽ジャンルがある。味付け的にノイジイな音を使用するというのではなく、リズムもメロディもないただただ連続する音の塊であり、聴く者を圧倒する「音圧」とも呼ぶべき音楽だ。おそらく中には「こんなものは音楽ではない!」というひともいよう。だが、ジョン・ケージがいみじくも「音楽は音のことである」と言ったように、音楽という概念を転倒する(脱)音楽と考えることはいつでも可能だ。実際、非常階段の演奏は、ケージの「4分33秒」の裏返しの実践ともいえる。
同じく純粋ノイズであるハナタラシMERZBOWが男性的(男根的)なのに比して、非常階段のノイズは女性的であり子宮的である。聴き続けていると次第に音と一体化し、まるで瞑想しているような精神状態になる。非常階段メンバーと親交のある、あるポルノ女優は「非常階段のノイズは明るい」と評した。そう、明るく、やさしく、そして(逆説的なことに)静かでさえある(しずけさや・・)。この女性性は、純粋ノイズにしては珍しくJunkoという女性voを配していることとも、もちろん関係しよう。
メンバーのひとりJOJO広重(g)は、一過性の場当たり的なノイズミュージシャンが出てくるなか、「続けることにノイズの存在意義がある」と明言していた。既に結成から四半世紀たっている。このような音、音楽が25年も続けられたことには、たしかに驚きを禁じえない。
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