山崎隆之六段

彼が傾倒する棋士は、同郷の故村山聖九段。村山は夭逝した天才で、羽生が7冠に向けて快進撃していた時期、羽生と五分に張り合っていた。たしかに村山の棋風も、定跡にこだわらない力戦派で、とりわけ終盤のねじり合いに威力を発揮していた。山崎の指しまわしを見るに、かなり影響を受けているようだ。
8、9年前だったか、関西将棋会館に通っていた頃、村山を2回ほど生で見たことがある。1回は道場で指導対局をしていたのを見かけた。当時すでにA級八段だったはずで、そんな偉い立場でもアマ相手に指導してくれることもあるんだなあ、と感心した覚えがある。2回目は、1階の廊下で電話しているところに遭遇した。怪童丸ともあだなされた巨体にコートを着てぶつぶつと誰かにしゃべっていた。やはり存在感があったねえ。