鄭大均『在日・強制連行の神話』★★★★★

日本人必読の書。
世の中一般には在日＝強制連行による被害者というイメージが流布されている。しかし、いわゆる「徴集」を「強制連行」と解したとしても、現在の在日の由来をたどると、そのほとんどは自発的に来日しているというのが事実である。そうした事実が共有されていないのは、在日＝日本による被害者というイメージを利用する文化人（在日・日本人を問わず）などの言説が影響しているのだ。
「被害者」という立場に甘えて、自己責任を回避する態度に著者は憤りを感じているようだが、そこにもっとも共感した。被害者だからといって、彼らの言説のすべてをすべて鵜呑みにするわけにはいかない。ところが被害者を絶対的無謬の立場であるかのように勘違いして、傲慢にも批判その他一切おことわりとする最低な言説者も世の中にはいるのだ。ふざけてはいけない。「被害者」の言動を通常より甘くみるというのは、むしろ差別的なのだと理解せねばならない。
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