小沢靖国発言の蒙昧

民主党新党首小沢一郎氏は小泉首相との差異を見せつけたいがためか、またぞろ「A級戦犯分祀論」をぶちあげているらしい。早速、グースさんが論破されている。
http://sky.ap.teacup.com/deep/174.html

靖国神社の性格から考えると、A級戦犯として処刑された方は「合祀」されるべき対象となります。東京裁判が行われたのは「戦時中」であり、戦争を指導したということで敵軍によって処刑されたのですから、国家の為に殉じた準戦死といってよい。これを「排除する論理」があれば伺いたいものです。

 また、「日本国民に対して戦争を主導した責任」なる概念が出てきましたが、政府の上層部が戦争を指揮指導することはどこの国でも当たり前のことであって、日本の法律上違法ではありません。当時の世論が戦争を後押ししていたのは「まぎれもない事実」ですから、「道義的な責任」というものも考えられません。

 戦争と言う状況の中で、個々の「作戦の失敗」や「判断ミス」があったとしても、それは靖国神社から排除される理由にはなりません。人間である以上、「間違った判断」を下すことはあるでしょう。その結果多数の犠牲を出した例もあったでしょう。それでも命をもって国家の為に殉じた以上、靖国の教義では英霊となりえるわけです。すくなくとも戦史を分析して合祀の対象者を決めるというルールは靖国にはありません。

 小沢氏個人の靖国観はともかく、客観的・論理的には「合祀」が正しい選択となります。そもそも靖国神社の宗教行為に関しては、小沢氏がどうこう口を挟む問題ではありません。靖国神社が気にいららなければ、小沢氏がいかなければよいだけの話です。

小沢氏は「A級戦犯」なる用語に懐疑を呈しているにもかかわらず、「戦争指導者」というくくりをして、彼らを祀るのはおかしいという珍論を展開しており、それに対する完膚なき反論になっている。小沢氏は指導者たちがおめおめと「捕虜」になったなどと見下しているが、実戦闘中に白旗を揚げて捕虜になったわけでもなく、GHQに拘束されたのが事実。もちろん自刃した者もいるし、そもそも開戦時首相の東條も自殺しようとしていた。
頓珍漢で浅薄な歴史認識しかないことがわかるが、私はそれだけをもって小沢氏の政治能力を決めつけるつもりはない。ただ、かりに首相になったとしても、「分祀」が不可能だということを悟って恥をさらすのがオチなので、はやいうちに有力なブレーンが小沢氏に「間違い」を気づかせるよう祈る。認識不足のままでは永田くんと同じはめになるよ。