早川いくを『へんないきもの』★★★★

売れているらしい。新聞広告で目を引いたので、速攻Amazonで購入。
最初はなにか空想上の生物について書いているのかと勘違いしていたが、読み進めていくうちにみな実在の生物であることに気づいた。知っているのも出てくる。おもしろい。
なにより見開き1ページで、左に文、右に絵を配したレイアウトがよろしい。読みやすい。絵もリアルはリアルだが、どこかユーモアがあり、それぞれの生物に愛着をわかせる。文章がまたひねっていて、斜めから物事を見ていく殊能さん的センスを感じる。
たとえばこんな感じだ。「キメンガニ&スマイルガニ」の項、平家一門の怨念を背負っているとされるヘイケガニにふれたあと、

しかしこのキメンガニには、そのような悲哀は全くない。とりあえず誤っておかないと殴られそうな憤怒の表情だ。しかもヘイケガニのような逸話もなく、誰が何に対して怒っているのかさっぱりわからないところが、新耳袋海洋生物版ともいうべき恐ろしさだ。

中に出てくる生物では、一生逆立ちして暮らすサカサクラゲ、40種を超える他の生物の形態模写をするミミックオクトパス」などに惹かれた。
非常に完成されたつくりなので、ネタを変えたマネ本が出てきそうだ。でも、それもこの本の名誉になるかも知れない。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901784501/qid%3D1094947148/250-1083540-4887412